
るような、そんな気持ちになれるかという確信を持っていただくことだと思います。それが演劇公演の仕事の始まりだと思うんですけれども、そういう確信を持ってもらうためにも、プロデューサーの仕事というものをつかんでいただくということがとても大事だと思うんですね。 公共のホールで演劇に取り組もうとした場合に、いろんなレベルの取り組みがあります。一番普通にあるのは、既にどこかで上演されているお芝居をそのまま買ってくるという取り組み。また、すでに上演されているものに、自分のホールだけのもの、要素を特別に加えて、そういう付加価値をつけ加えて、皆さんのホールからの発信していくというような場合もありましょう。あるいはある演劇集団に、それぞれのホールのねらいとか期待とかによって新しいものをつくってくださいと頼む場合もありましょう。また、幾つかの演劇公演を独特のねらいで集めて、演劇祭などの形で、ホール独自の企画というものをお立てになる場合もあろうと思います。 それから、町の人たちの意欲にこたえて、皆さんがそういう人たちと取り組んで、ご自分の町の新しい芝居なり、ミュージカルなり、オペラなりというものをつくっていこうというような場合もありましょう。いろんなケースの取り組みがあると思いますけれども、お芝居、演劇というのは、それに取り組む人間がうんとたくさんいて、どこをつっついたら何が出てくるか、なかなか勘どころがつかみにくいものだと思います。やっぱりプロデューサーの仕事というものを皆さんに把握していただくということにしくはないと思うのです。 ところが、またこのプロデューサーの仕事というのは、一言で言えば本当にもう雑駁でして、いろいろ複雑で多岐にわたります。プロデューサーとは何ぞやということをわかりやすく書いたマニュアルというのは、これはお目にかかったことがありません。やっぱり実物を見ていただくのがいちばんです。 ここにきょう来ていただいた山下徹さんは、私なんかはいつも作品を拝見していますけれども、シアター・ドラマシティで演劇、ミュージカルのプロデューサーをやっていらっしゃいまして、その作品は必ず東京でも、あるいは名古屋などでも上演される。そういう作品を打っているプロデューサーです。私は芝居好きで、公共のホールにいるということもありまして、きょうは皆さんの案内役になって山下さんのお話を皆さんと一緒に聞いていきたいと思っています。
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